人口と少子高齢化の世界統計
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定年延長の支持理由から読む――年金開始までの「雇用の空白」

人口と少子高齢化について、世界の統計を定点観測する

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少子高齢化を「働く期間」から考える

人口と少子高齢化を考えるとき、出生数や高齢者の割合だけでなく、退職後の所得と雇用がどのようにつながるかも重要な論点になる。働く人の年齢構成が変われば、定年を迎える時期、年金を受け取り始める時期、職場で能力を生かせる期間の関係も改めて問われるからだ。

2017年度(2017年4月~2018年3月)の退職公務員生活状況調査には、定年年齢を引き上げることが適切だと考えた回答者と、その理由が示されている。この資料から見えてくるのは、当時の定年延長への支持を、単純な「長く働きたい」という希望だけで説明できないという点である。回答の中心には、満額の年金が始まるまで雇用を切れ目なく確保したいという、生活上の接続問題があった。以下で述べることは、いずれもこの2017年度調査の時点の姿であり、その後の状況を示すものではない。

支持の中心にあるのは年金までの橋渡し

2017年度(2017年4月~2018年3月)の調査結果を整理すると、次のようになる。

回答内容人数
定年年齢の引上げが適切だと考えた2017年度(2017年4月~2018年3月):2,226人
満額年金支給開始年齢まで雇用が保障されることを理由に挙げた2017年度(2017年4月~2018年3月):1,757人
意欲と能力に応じた任用や処遇を確保できることを理由に挙げた2017年度(2017年4月~2018年3月):729人

2017年度(2017年4月~2018年3月)の設問では、満額年金支給開始年齢として65歳が示されている。したがって、1,757人という回答は、当時、定年延長が単なる勤務期間の追加ではなく、退職から年金受給までの所得と雇用をつなぐ仕組みとして受け止められていたことを表している。

一方、意欲や能力に応じた任用・処遇を理由とした回答も、2017年度(2017年4月~2018年3月)に729人あった。こちらは、高齢期の就業を生活保障だけでなく、経験や能力を職場で生かす機会として捉える視点である。ただし同じ年度の人数を比べると、雇用の継続を求める理由のほうが前面に出ていた。当時の定年延長への支持を「元気な人が働き続けるため」とだけ読むと、年金開始までの空白を避けたいという回答者の事情を見落とすことになる。

なお、同じ「『定年年齢の引上げ』が適切と考える理由(複数回答)」は、2014年度(2014年4月~2015年3月)にも表54として集計されている。年度をまたいで見比べるなら、こうした別年度の表にあたる必要がある。

複数回答の数字を足し合わせない

この表を読む際には、理由の回答が複数回答であることに注意したい。同じ回答者が、雇用の保障と能力に応じた処遇の両方を選んでいる可能性がある。そのため、1,757人と729人を互いに排他的な集団として扱うことはできない。

また、この数字だけから、退職公務員全体が同じ考えを持っていたと結論づけることも適切ではない。示されているのは、2017年度の調査で定年年齢の引上げが適切だと考えた回答者の理由である。反対意見や別の選択肢を含む全体像、回答者の属性による違いまでは、この表だけでは判断できない。

大切なのは、人数の大小を賛否の勝敗として読むのではなく、その時点で定年制度にどのような役割が期待されていたのかを読み分けることである。

人口問題と雇用制度の接点

少子高齢化の議論では、高齢者を「支えられる側」、現役世代を「支える側」と分けて表現しがちである。しかし、定年と年金開始の間に切れ目があれば、年齢だけで役割を区切る見方では、実際の暮らしを十分に説明できない。

雇用が続くこと、能力が適切に評価されること、年金へ無理なく移行できることは、それぞれ別の課題でありながら相互に関係している。定年年齢を変えるだけでは、仕事内容や処遇、働き方の選択まで自動的に整うわけではない。反対に、能力活用だけを強調しても、所得の空白への不安は解消されない。

この調査が示す重要な視点は、定年延長を「高齢者を長く働かせる制度」と一方向に理解しないことである。2017年度の回答者が重視した雇用保障には、制度上の年齢境界によって生活が途切れないことへの期待が表れている。人口と少子高齢化を暮らしの側から考えるなら、何歳まで働くかだけでなく、退職、雇用、年金の各段階がどのようにつながっているかを見る必要がある。

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